TOC講座では、TOCについての「考え方」や「活用術」などを、私なりに書いて行こうと思います。
まず始めは、TOCの基本的な考え方を数回に分けて紹介していきます。
TOCの基本概念
TOCとは、
Theory of Constraints の略で、日本語に直すと「制約条件の理論」となります。
すなわちTOCとは、企業収益の鍵を握る「制約条件」にフォーカスする事によって、最小の努力で最大の効果(利益)をあげるシステム改善手法といえます。
TOCにおける”制約”
ここで言う「制約」とは、目的(ゴール)の達成を妨げる全てのものを指します。
制約は、大きく3つに分類されます。
- 物理制約 : 需要に対し、供給が物理的に間に合わない場合
- 市場制約 : 供給能力は十分あるが、市場の需要が少ない場合
- 方針制約 : 会社方針やルール・決まりなどにより、正しい行動が出来ない場合
この制約の中でも「方針制約」は、目に見えないこともあり、一番難しい制約です。
(物理制約や市場制約は、ほとんどの場合「方針制約」が原因で引き起こされています)
この制約についての正しい知識は重要なので、別の記事で詳しく解説します。(参照:TOCの制約について)
TOCの歴史
TOCは、1980年代、イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラット博士により提唱されました。
TOCは、The・Goal(ザ・ゴール)という小説によって一躍有名になりました。
(全米で250万部以上の大ベストセラー小説)
この本は博士が、1970年代に開発したスケジューラーソフト(OPT)を、もっと多くの人達に知ってもらうために、OPTの背後にあるコンセプトを小説にしたものだったのです。
(OPTは米国で一躍有名になったソフトです)
しかし高額なOPTを購入せず、小説に書かれたストーリー通りに実行するだけで、大きな成果を上げる工場が続出しました。
その後ゴールドラット博士は、ザ・ゴールで説明した手法の教育・研究に専念し、次々に新しい考え方を提唱してきました。
TOCの代表的な手法
TOCの代表的な手法は、以下の通りです。
1.DBR (ドラム・バッファ・ロープ) |
繰返し生産品で、比較的リードタイムの短い製品を対象とした生産管理手法 |
2.スループット会計 | 制約条件の理論に基づく新しい会計手法で、全体最適をベースにした計算手法 (利益を増やすための、正しい判断を行う会計方法) |
3.思考プロセス | 人が介在する組織が抱える、複雑な問題の解決を目指した思考法 |
4.CCPM (クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント) |
不確定要素に大きく影響される業務で、 比較的リードタイムの長い業務についての管理手法 (プロジェクトや商品開発など) |
5.その他 | ディストロビューション,URO(マフィアオファー),セールス,S&Tツリー‥ |
TOCは、次々に新しい考え方を提唱し、今でも進化し続けています。
次回は、TOCの考え方について、詳しく書いていきます。
※ なお、前述した個別の管理手法については、随時掲載して行く予定です。
乞うご期待!