前回は、PRT(前提条件ツリー)について書きました。

今回は、最後のツリーとなるTrT(移行ツリー)について書きます。

TrT:Transition Tree (移行ツリー)

移行ツリーは、目的達成に向けた「行動計画」を、作成するために使われます。

TrT(移行ツリー)イメージ1

現在の状況から、将来のある時点の状況へ移行するための、プロセスを設計します。

移行ツリーによって、「移行自体がどんなものとなるのか?」途中での中間の実体を明確にしながら、現在の状況を将来の状況(目的)に変換するための、特定のステップ(行動)を明確にしてくれます。

移行ツリーの作成手順

移行ツリーで使われる「中間目的」「障害」については、PRT(前提条件ツリー)作成時に、既にほとんどが作成されています。

手順-1 目的を設定する。 ← PRTで作成済み
手順-2 目的達成の障害及び、その背景を明確化する。 ← PRTで作成済み
手順-3 障害を克服する中間目的を設定する。 ← PRTで作成済み

この手順-1から手順-3までは、PRT(前提条件ツリー)を作成していない場合に、実施してください。

TrT(移行ツリー)イメージ2

手順-4 障害及び変更が必要な現状を、克服する行動を明確にする。

中間目的の達成を脅かす障害に対し、この障害を無効にする行動を決めます。「誰が、いつ、どこで、何を、どのように」のように、詳細な部分まで踏み込むようにします。

手順-5 手順-1から手順-4までを、障害が無くなるまで繰り返す。

ここまでで、移行ツリーは作成できます。

しかし、なぜ?前提条件ツリー(目的と障害の抽出)と移行ツリー(障害への対応策)に、分けるのでしょうか?

まず言える事は、二つのツリーに分けた方が、効率が良いからです。

問題を抽出する時は徹底して問題の抽出に当たることで、抜けを減らし、時間を短縮でき、全員が一つの方向に向かって話しあえるからです。

もし、問題を出しながら対応策も出すと、改善案への「批判」「議論」「評価」などが始まり、問題を忘れてしまったり、言えなくなったりしてしまいます。

そのため、問題を抽出する場合は、KJ法などを使うと良いでしょう。また、対策を考える場合は「ブレーン・ストーミング法」などが、適していると思います。

ここまでの5つのツリーにより、「関係者に私達の提案を合意させる手順」が出来たはずです。

《 合意を得る6つのフェーズ 》

フェーズ 1 : 問題について合意する
フェーズ 2 : ソリューションの方向性について合意する
フェーズ 3 : このソリューションが、問題を解消させることについて合意する
フェーズ 4 : このソリューションが、重要なマイナスの影響を生まないことについて合意する
フェーズ 5 : このソリューションのインプリメンテーションを阻害するかもしない障害を克服する方法について合意する
フェーズ 6 : このソリューションを実行することについて合意する

この「合意を得る6つのフェーズは、抵抗の6階層を越えた状態となります。

次回は、「思考プロセスの応用」について書いてみます。