今回からは、方針制約の打破や人間的な問題の解決など、多くの場面で活用される「思考プロセス」について、書いてゆきます。

TOC思考プロセスとは

まず、TOC思考プロセスとは、どのような手法なのでしょうか?

一言でいうと、「人が介在する組織が抱える、複雑な問題の解決を目指した思考法」といえます。

この思考プロセスは、大きな3つのステップから成り立っています。

思考プロセスの3つのステップ

ステップ1 : 何を変えるのか?
目的の達成を阻害している、間違った行動や考え方を探し出します。

ステップ2 : 何に変えるのか?
間違った行動や考え方を、どのような正しい行動に変えればよいかを決めます。

ステップ3 : どうやって変えるのか?
変えるべきものを、どのような方法・手順で変えればよいのかを、詳細に決めて行きます。

この3つのステップを進めるために、思考プロセスでは「5つのツリー」を用意しています。

思考プロセスの5つのツリー

1.CRT : Current Reality Tree 現状問題構造ツリー

このツリーでは、目的の達成を阻害している多くの問題を、問題の連鎖から因果関係ロジックにより構造化し、中核となる問題「中核問題(変えるべきもの)」を見つけ出します。

CRT(現状問題構造ツリー)

2.CRD : Conflict Resolution Diagram 対立解消図

このツリーでは、問題の対立構造を必要条件ロジックにより明確化し、間違った行動を引き起こさせている仮定を見付け、正しい行動が取れるような対策を考えます。

CRD(対立解消図)

3.FRT:Future Reality Tree 未来構造ツリー

このツリーでは、実施しようとしている対策が、現在起きている全ての問題を解消するか?について、因果関係ロジックで検証します。

FRT(未来構造ツリー)

4.PRT : Prerequisite Tree 前提条件ツリー

このツリーでは、改善を行うための大枠の手順を決め、中間目的を置きながら実施上の障害を見付け、更なる対策を付加することで、改善・改革を進める手順(I-Oマップ)を作ります。

PRT(前提条件ツリー)

5.TT:Transition Tree 移行ツリー

このツリーでは、中間目的を達成するために必要な詳細な項目(何を、誰が、いつ、どのように)を、行動レベルまで掘り下げて進め方を決めます。

TT〈移行ツリー)

この5つのツリーは、5つのツリーを一連の手順として使う方法と、1つ1つのツリーを単独で使う方法があります。

5つのツリーを全て使う方法は、
「企業が、現在から将来にわたって儲け続ける」ための、シナリオや戦略・戦術作りなどに利用します。

1つのツリーを単独で使う方法は、
右か?左か?の意思決定が必要な場面で、目的を達成するために正しい方はどちらかを、決める時などに利用します。

5つのツリーを使う2つの使い方

5ツリー法 3クラウド法
ツリーの利用順序 CRT → CRD → FRT → PRT → TT CRD → CRT → FRT → PRT → TT
適用分類 ・中核問題となるであろう問題が、 大まかに絞り込めない場合 ・中核問題となるであろう問題が、 大まかに絞り込めている場合


5ツリー法

5ツリー法

3クラウド法

3クラウド法

※ この2種類の思考方法については、後で手順を説明します。

次回は、ツリーの作り方について書きます。