前回は、FRTの作成手順-4(好ましい結果を関連付ける)までを書きました。

FRT(未来構造ツリー)の例

今回は、FRT作成の続き(手順-5から)を書きます。

手順-5.インジェクションの望ましくない結果(Negative Braches)を取り除く。

ここでは、中核となる問題へのインジェクションを実行すると、新たに発生する問題(NBr:マイナスの枝)に対し、事前に対応策を決めておきます。

1)手順-3で列挙した「望ましくない結果」を、手順-4で作成されたツリーに関連付けます。
関連付けが出来たら「正当性の検証」を行います。

2)正当性の検証を行ったら、「なぜ、その関係が成り立つのか?」について、背景にある「仮定」を洗い出します。

3)洗い出された仮定の中の主要なものに対し、仮定を排除する対策(インジェクション)を考えます。

新しい問題の追加と対策

インジェクションは、一つとは限りません。

手順-6.付加的な結果を追加する。

ここまでで出来上がったツリーを眺め、正当性の検証(CRT作成時に行った内容)により、適切な実態を追加します。

正当性検証の手順
明瞭性

1.意味の明瞭性
単語の意味がわかるか、文章の意味がわかるか、関係は明瞭か

存在

2.実体の存在
現実に存在しているか、または確認できるか
3.因果関係の存在
その原因は実際にその結果を引き起こすか

因果関係

4.原因の不十分
その結果を引き起こすのに他の原因はないか
5.追加の原因
その原因を取り除けば、その結果は絶対に起きないか
6.原因と結果の逆転
原因と結果の関係が逆転していないか
7.予想される結果の存在
その原因から必ずあらわれる他の結果はないか
8.同語反復/循環論理
その結果の他に必ずあらわれる検証できる結果はないか

手順-7.再強化ループを加える。

再強化ループとは、CRT(現状問題構造ツリー)で発生する「悪循環:ネガティブループ」の逆で、良い結果が、更に良い原因を引き起こす「良い循環」のことです。

ツリーのトップにある実態から、ツリーの底のほうへつながる関係が無いか?検討します。あれば、このエンティティ同士を矢印で繋ぎます。

再強化ループ

手順-8.FRT全体を吟味する。

出来上がったツリーを、下から上に読み上げて吟味をします。

読み上げ方は、CRT(現状問題構造ツリー)作成時と同じで、「もし~ならば、そのときは~である。」と読みます。

聞いてみて違和感を感じたら、正当性の検証をします。

ここまでで、FRTの作成は完了です。

次回は、PRT(前提条件ツリー)について書きます。