今回は、思考プロセスのツリー作成で使われる記号や、考え方について書きます。

思考プロセスの考え方

思考プロセスは、今までの原因追求型(問題を分析して、原因を追究し、対策する)のような問題解決ではありません。

まず全体を大きく観察し、全体の構造を把握し、改善のツボを押さえ、最小の労力で全体を改善します。

今までの問題解決の考え方

・要素還元主義のパラダイム
対象を細かい要素に還元し、それぞれの要素を分析検討した後、これらを統合することによって、全体像を把握する。
問題分析 → 原因究明 → 原因除去 → 問題解決

思考プロセスの考え方

・全包括主義のパラダイム
対象の全体をありのまま観察(把握)し、対象の本質を直感的に把握する。
全体観察 → 構造理解 → 要所加療 → 全体治癒

※ 思考プロセスでは、今までの考え方を変えて、問題に対処します。

ツリー作成に使われる記号

思考プロセスの5つのツリーを作成する時には、下記に示す記号が使われます。

1.エンティティ

システム内に存在するものや、他から独立したものなどの意味を表わします。

エンティティを表わす記号

2.ノード(矢印)

二つの実態の関係を指示するもので、矢印は仮定を表わします。

仮定は、因果関係の存在理由であり、矢印の背後にある考えで成り立っています。

ノードに使われる記号

3.アンド・コネクター(楕円)

且つ(かつ)という、論理的なAND(アンド)を表わします。

アンド・コネクターを表わす記号

思考プロセスの2つの基本ツリー

1.十分条件ツリー

原因と結果の関係を、表わすツリーです。

十分条件ツリー

《使われるツリー》 現状問題構造ツリー、未来構造ツリー、移行ツリー

2.必要条件ツリー

目的を達成するために必要な条件を、表わすツリーです。

必要条件ツリー

《使われるツリー》 対立解消図、前提条件ツリー

エンティティに書かれる言葉について、

内容 相手との関係 対処法
事実 ・実際に起こった出来事
・報告することができる
・証明が可能である
・誰しもが受入れられる ・仕事は科学的に、事実に基づいて
処理する
意見 ・限られた事実で全体を推論する
・推論を自分で気が付いているか
が重要
・賛否が分かれる ・意見はよく聴き、尊重する
感情 ・好き嫌い
・自分の価値観で断定する
・断定は思考を止める
・早すぎる断定は、目の前のものを
見えなくする
・ほとんど受入れられない ・人間関係は、感情を理解して
処理する

『思考と行動における言語』S.Iハヤカワ著角川書店刊より

※ CRT(現状問題構造ツリー)に書かれる内容は、「事実」でなければなりません。

次回は、CRT(現状問題構造ツリー)の作り方について、書きます。