前回は、上司の変化に対する最初の抵抗「対応している問題を問題として認めない」に対し、T係長は自社の例題を用いて、なんとか今起きている問題を上司に理解してもらうことが出来ました。
二番目の抵抗(解決策の方向性に同意できない)
そこで早速、T係長はTOCの考え方を導入するために「外部のコンサルタントを入れたい」と、上司に提言しました。
すると上司は、「問題は解かったが、わざわざ外部のコンサルタントに頼まなくてもいいじゃないか!」「外部のコンサルを頼むとお金もかかるし、自分達で何とかやってみなさい!」と言ってきたのです。
上司は、「各部署がバラバラに、個別の改善を進めてもダメだ」ということは理解したのですが、問題を解決する方法として外部のコンサルを入れ、改善を進めることに納得できないのです。
これが、2番目の抵抗の階層である「解決策の方向性に同意できない」です。
この問題を解決するためには、外部コンサルを入れる必要性を上司に理解してもらう必要があります。
対応策
そこでT係長は、上司を説得するためにはどうしたらよいか?考えたすえに、以前TOCのセミナーで習った「思考プロセス」を使ってみようと考えました。
そこでまず、今回の問題を「上司が外部コンサルを入れることに賛同しない」と書きました。
次に、この原因となっている好ましくない事実(UDE)を、書き出してみました。
<上司が外部コンサルを入れることに賛同しない理由>
- 外部にコンサルを依頼すると、コンサルティング費用がかかる。
- コンサルティング費用は高い。
- 外部に依頼しなくても、自分達で出来るのではないか?
- 予算を取るのが大変だ。
- TOC以外の改善手法でも、問題は解決できると思っている。
- 以前、依頼したコンサルに良い印象を持っていない。
- 以前、依頼したコンサルで失敗している。
T係長は、上司が反対する理由を、思考プロセスの「現状問題構造ツリー」にしてみることにしました。
しかし、ここに挙げた理由は、あくまでもT係長の想像であり、上司の本当の理由とはいえません。
そこでT係長は、この現状問題構造ツリーを上司に見せ、間違っていないかを確認することにしました。
その結果、上司は過去のコンサルティングを依頼し、改善を図ろうとしたが上手く成果が出ず、「会社のTOPにひどく叱られたことがあった」ということがわかりました。
それにより上司は、コンサルタントアレルギーになっていることがわかりました。
そのためT係長は、上司のコンサルタントアレルギーを、まず解消することが先決であると考え、そのために必要な項目を洗い出してみました。
<上司のコンサルタントアレルギーを、解消するために必要な項目>
- 自社の人材だけで、新しいことを行う(考え方を180度切り替える)難しさを理解してもらう。
- 改善効果に比べれば、コンサルティング費用は、それほど高くないことを理解してもらう。
- 予算申請は、自分(T係長)が行うので心配要らないと伝える。
- 今回頼むコンサルティング会社は、実績もあり現場密着型のコンサルであることを知ってもらう。
- もし失敗した時は、自分が責任を負うという信念を伝える。
- TOCを導入して、素晴らしい結果を出した会社の事例を紹介する。
T係長が出した結論
T係長は、これだけのことを自分一人ではなかなか出来ないと考え、まず上司に「TOC導入セミナー」へ参加してもらい、直接TOCコンサルの良さを理解してもらうことにしました。
結果、TOCのプロによる話や成功事例を聞いてもらうことで、TOC理論の良さやコンサルタントの質の良さを理解してもらい、上司に「やはり外部のコンサルタントが必要だな!」と言ってもらうことができました。
T係長は、やっと上司に「TOCの外部コンサルタント」を入れることに同意してもらい、早速、社内の予算申請を書くことにしました。
しかし、ここで新たに部長からの抵抗(3番目の抵抗)にあったのです。
3番目の抵抗については、また次回書くことにします。
まとめ
相手を説得するために、思考プロセスを使うことは有効な手段です。
特に現状問題構造ツリーは、複雑な問題を原因と結果の関係で結びつけて、中核となる問題をあぶりだしてくれます。
更に、問題を文字にすることでニュアンスの微妙な違いなども解消でき、会話も進みますのでコミュニケーションも良くなります。
思考プロセスは、最初とっつき辛いのですが、使えば使うほど慣れてきますので、ツリーの単体での利用も意識的に行ってみてください。