前回は、CRT(現状問題構造ツリー)について書きました。
今回は、CRD(対立解消図)について書きます。
2.CRD : Conflict Resolution Diagram 対立解消図
CRD(対立解消図)は、「何に変えるのか」に答えるためのツリーです。
解決策の方向について「全体最適の観点」から、問題の背後にある「仮定・思い込み」を表面化させ、それを無効にする論理的な話し合いをすることにより、解決策へのコンセンサスを得るためのツリーです。
TOCでは、中核問題が解決されないままの状態になっているのは、対立があるからだと考えます。
そして、その対立の構造を明確に表面化し、それぞれのエンティティー間の背後(矢印の背後)にある仮定や思い込みを表面化させ、それを無効にする解決策を考え、対立を解消していくのが「対立解消図」です。
対立解消図の作成手順
問題 : 当月必要の無い製品まで、先行生産している。
手順-1 「D:前提条件」を入れる
問題から引き起こされる行動を、Dのエンティティとして入れる。
Bに必要なもの。
DはBの必要条件である。
従ってAの前提条件である。
DがないとBは存在できない。
手順-2 「D’:前提条件」を入れる
Dと反対で定義された行動を、D’のエンティティとして入れる。
DとD´は共存できない。
基本的な対立には、2つのタイプがあります。
(1)反対の行動による対立
例えば、経費削減のためにお金を節約するという行動と、売り上げを
伸ばすためにお金を使うという行動のように、反対の行動をとることを
要求されるような対立である。
(2)選択での対立
資源(お金、設備、時間など)の制約のために、反対の行動ではないが、
今は1つしか選べないような対立である。
それらは望ましいことではあるが、同時にそれらを実行することができない
場合は、1つを選択しなければならない。
手順-3 「Bの必要条件」を入れる
Dを行うことにより達成される条件を、Bのエンティティとして入れる。
Aに必要なもの。
BはAの必要条件である。
従ってこれがないとAは存在できない。
手順-4 「Cの必要条件」を入れる
Cを行うことにより達成される条件を、Cのエンティティとして入れる。
Aに必要なもの。
CはAの必要条件である。
従ってこれがないとAは存在できない。
手順-5 「Aの共通目的」を入れる
BとCを行うことによって達成される目的を、Aのエンティティとして入れる。
共通目標。
これが存在できるためには、BとCのどちらも存在することが必要である。
ここまでの手順で、「CRD:対立解消図」は出来上がりです。
次に、CRDが正しいのか検証を行い、CRDを完全なものにします。
そのため次回は、CRDを完全なものにするための検証手順(仮定挿入)と、「インジェクション(解決策)」について書きます。