今回は、FRT(未来構造ツリー)について書きます。

3.FRT : Future Reality Tree 未来構造ツリー

FRT(未来構造ツリー)は、CRDと同様「何に変えるのか?」に答えるツリーです。

未来構造ツリーは、実施する対策(インジェクション)が、発生している問題を全て解決するのか?を検証します。また、検証過程で見つかる新たな問題を顕在化させ、対策の追加を行います。

FRT(未来構造ツリー)

このツリーにより、解決策(インジェクション)を実施した結果、どんな良い状態になるのかを確認することができます。(人を説得する資料として使えます)

未来構造ツリーの作成手順

手順-1.インジェクションを明確にする。

問題を解決するために実施しようとしている、最初の「解決策(インジェクション)」を明確化します。

実施しようとしている解決策が、「どのようなものなのか」を、他の人達でも分かるような文章で表現します。

上図の一部を例にとると、「正しい評価基準がある」という文章では、何に対しての正しい評価基準なのか?が分かりません。そこで「利益を増やすための、正しい評価基準がある」と書いたほうが、分かりやすくなります。

手順-2.DE:Desired Effects (好ましい結果)を列挙する。

インジェクションを実施することにより、「どんな良い結果が生まれるのか?」「どんな良い結果を期待するのか?」を、列挙します。

好ましい結果の列挙方法

1.CRT(現状問題構造ツリー)を作成している場合は、 UDE(好ましくない結果)とは反対の状態を、DE(好ましい結果)として書きます。

UDE→DEの例

ここで注意すべきことは、「言葉の意味を反対にする、ということではない」という点です。

長い → 短い、早い → 遅い、悪い → 良い、多い → 少ない、などの、反対言葉を入れるのではなく、「悪い状態が、どんな良い状態」になるのかを、表現します。

2.CRTを作成していない場合は、 インジェクションにより引き起こされる、良い状態・プラスの結果を列挙します。

DE(好ましい結果)の列挙

手順-3.インジェクションの「好ましくない結果」を列挙する。

インジェクションの好ましくない結果としては、次の二つがあります。

1.インジェクションの実行を難しくするもの(Negative Branches)

ネガティブブランチ(マイナスの枝)は、インジェクションを実行することにより、新たに発生する問題であり、FRTの段階で対処しておく必要があります。

2.インジェクションの実行に当たっての障害

障害は、インジェクションの実行を阻害する問題であり、FRTの段階では対処せず、 PRTで対処します。

この2つを区分するには、インジェクションの実行前か?実行後か?が、目安になります。

手順-4.インジェクションとDE(好ましい結果)を、十分条件ロジックで関連付ける。

原因と結果の関係で、インジェクションと好ましい結果を結びつけます。

この関連付け及び正当性の検証は、まず、インジェクションと、インジェクションにより引き起こされる明らかな結果を関連付け、次に、残った好ましい結果を結び付けます。この手順は、CRT作成時の手順と同様です。

ここまでで、FRTの骨格ができます。

次回は、FRTの続きとして「ネガティブブランチへの対応」と「再強化ループ」について書きます。