前回は、対立解消図の作成手順を書きました。
今回は、対立解消図を完全なものにするための検証方法と、解決策の策定手順について書きます。
対立解消図の検証
1.問題としたものが「本当に問題なのか?」を、チェックする。
対立解消図は、
・「やる ←→ やらない」、「買う ←→ 買わない」、「行く←→ 行かない」など、両方同時には出来ないこと。
・「取りたくないが、取らざるを得ない行動 ←→ 本来取りたい行動」のような相反すること。
が、図式化されたものです。
目的を達成する上での問題が、引き起こしている行動を「D」のエンティティーに入れているはずです。そのため、前提条件(D)に入っている行動は、本来、現状から取り除きたいものでなければならないはずです。
もし、その内容が取り除きたくないものであれば、問題を見直す必要があります。
ここで例を挙げます。
目的は、「健康な体になる」中核問題が、「昨年に比べ、体重が10㎏増えている」と、なった場合を想定します。
中核問題から引き起こされる行動は、どのようにして導き出すのか?というと、まず、「ナゼ、これが問題なのか?」の質問に、答えます。
回答例として、体重が増えると「内臓に負担がかかる」となったとします。
次に、「それは、健康な体になることに対して、どのような影響を及ぼすのか?」との質問に、答えます。
回答例として、体重が増えないように、「朝食を食べていない」となったとします。よって、「D」のエンティティーに入る行動は「朝食を食べない」となります。
もし、その内容が取り除きたくないものであれば、問題を見直す必要があります。
2.対立解消図の前提条件は、本当に「対立しているのか?」をチェックする。
対立解消図は、
・「やる ←→ やらない」、「買う ←→ 買わない」、「行く←→ 行かない」など、両方同時には出来ないことや、
・「やりたくないけど、やらざるを得ない行動 ←→ 本来やりたい行動」のような、相反することを図式化しています。
そして、目的達成を阻害する要因(取り除くべき問題)により、引き起こされている行動が、「D」のエンティティーに入っているのですから、
DとD’のエンティティーは、「望ましい行動」と「強要される行動」、又は、どちらの行動も出来るが、「同時には出来ない」といった形になっていなければなりません。
また、対立解消図の上側のライン(A←B←D)は、「取らざるを得ない行動」の図式になり、逆に、下側のライン(A←C←D’)は、「本来取りたい行動」の図式になります。
3.対立の構図が「正しく作られているか?」を、チェックする。
各エンティティー間(A-B間、B-D間、A-C間、C-D’間、D-D’間)が、論理として正しいか?チェックする。
チェック方法
エンティティー間の必要条件が、論理的に正しいか?読み合わせを行い、「その通りだ」と全員が納得できるかどうか、確認する。(一人でも違和感を感じたら、見直しを行う)
- Aを実現するためには、Bがなければならない。なぜならば、「仮定」があるからだ。
- Bを得るためには、Dを行わなくてはならない。なぜならば、「仮定」があるからだ。
- Aを実現するためには、Cがなければならない。なぜならば、「仮定」があるからだ。
- Cを得るためには、D´を行わなくてはならない。なぜならば、「仮定」があるからだ。
- DとD´は互いに対立している。なぜならば、「仮定」があるからだ。
上記のように、全ての関係をチェックします。
解決策の立案
解決策は、各エンティティ間にある間違った仮定を見つけ、その仮定を打ち消すインジェクション(対策)を考えることで、エンティティー間の「必要条件」を切ります。
この場合、「規則正しい食事を行い、適度な運動をする」という、インジェクション(対策)を行うことで、B-D間の必要条件関係を切ることができ、朝食を食べても「体重を減らせ」且つ「体力を付ける」ことが出来るようになります。
そして、「目的」Aを達成するための「必要条件B」と、「必要条件C」の両方を満足させることが可能になります。
この関係を、Win-Winの関係と呼びます。
対立解消図については、ここまでにしておきます。
次回は、FRT:未来構造ツリーについて書きます。